出発前1

四月某日。

高校、大学と一緒だった友達のEちゃんとの定期お食事会。「行き遅れたことにやっと気付いた」「子供は好きではないが子供は産んでおきたい」などといつも通りの不毛な会話をする中、北欧旅行を切り出したのは私だ。

元々北欧に行きたいと思い立った経緯は、前年に退職した会社の同僚が、スウェーデンに嫁いで行ったのがきっかけだ。私自身、前月に初めて台湾旅行に行き、想像以上に旅費が抑えられ楽しかったので、旅行熱がアツアツだったのもある。あとパスポートもせっかく更新したからハンコ増やしたい。

Eちゃんは旅行好きで、直近でもモロッコに行ったという話を聞いていたため、誘いやすかった。思った通り行きたい!と盛り上がったため、その場は5月末に行こうというざっくりとした会話で終わった。

 

翌日から早速ツアーをネットで検索してみたのだが、これがもう大変だった。まずカタカナが入ってこない。コペンハーゲンだとか、タリンがどこだか、覚えた瞬間忘れてしまうのである。残念なおつむなのは置いておいて、それくらい北欧の知識がないし、そんなに興味がなかったのである。興味がないのに行くのか、というご指摘は尤もなのだが、理由が出来たのでとにかく行ってみたかったというのが正直な所だ。

 

そして日程。少ない日数では5日位からある。私は4月末で退社する為、せっかく北欧まで行くのだから出来るだけ長い日数で行きたかった。しかしEちゃんは一般事務職の為、土日を挟んで最大9日間しか休めないとのこと。私自身10年一般事務職で働いた為、その感覚は十分理解できた。